【読書】督促OL修行日記

TSUTAYAに立寄ってちょっと前に電車広告なんかに出てたなーと思い出して100円で購入して半日で読了。

「督促OL修行日記」 

 

内容は新卒で信販会社の債権回収部門に配属された女性主人公の苦労話と成長というあたり。

新卒時代の部分は紙パンツとか罵声が飛び交うとか、親にも言われた事ない罵詈雑言を浴びるとか、新卒あるあるで笑えた....ごめんよ


一昔前は借金の取り立てが家や会社にやってきて脅し文句を言ったり払うまで帰らず警察沙汰...なんて話もニュースになって社会問題になってましたねえ。

現在はそういうの禁止で常識的な時間内(8時ー21時かつ土日祝は禁止)の「電話」か「督促状」と「とてもヌルく」なったそう。

 

なんでこの本が気になったかと言えば、わたしも半年間ほど「某消費者金融で運用の仕事」した事があるからなんですねえ。

んで、ちょうどこの本の広告を見た時と重なって覚えていたのだ。

 

業務は極めて「エグい」のは債権回収ときけば想像つきますね。

ちなみに読んだ感じだと「信販会社」のがコンプラは「大手サラ金」よりゆるい気がしました。今の時代、大手消費者金融で融資おりる人ってあるいみ厳選されたエリート(借入は他社含め必ず収入の1/3を100%厳守)でしたから。

 

読み進めてくうちに、世の中ってなんだかなーと思った部分が幾つか。

①新卒で採用した社員がウツや病気でどんどん辞めて行く場所に配属するってありなの?まだ氷河期が残っていた時代なので社員もブラック使い捨てだったの?

営業に配属された人と債権回収に配属されるんじゃあまりに差がありすぎておかしすぎませんか?ということ。身体壊すほど大変な仕事も花形で良い仕事も同じ給料でいいのかなあ。

 

 ②番目、その「えぐい」仕事をパートのオペレーターにやらせているというくだり。

電話(と督促状)以外の督促手段がなくなり「返済しろ」とは言えず「いつ返済していただけますか?」と遠回しにしか言えなくなったからだそう。特に初期回収では女性からのほうが相手に好印象なのもあるらしい。

作者は信販会社の正社員ですから、どんなキツくても信販貸金の世界ではキャリア積めます。次の転職も同業に行けるような事も書かれていました。

対してコールセンターは、パートとしては時給が良くて働くシングルマザーは多いと書いてありましたけど、では彼女らには辛い督促電話する以外に、金融の世界でのしあがって行く知識を身に付けるチャンスや研修ってあるのかな?と疑問が湧きました。

作中にパートから社員になった先輩が出てくるものの、元々は前職で社員としてサラ金の債権回収をしてたわけで。


読む限りパートのオペレーターは、ただ精神が壊れるまで使い潰される道具みたいなもんな気が...

これ、なんか少し前に読んだ戦前のタコ部屋小説思い出しました。

羽志主水著「監獄部屋」

北海道開拓では内地から上手い事言って労働者をつれてきてはその労働力を「圧搾機で搾るがごとく、」急速に搾りつくし、搾りかすは廃棄(死に至る虐侍含む)したそうな。

肉体労働と感情労働と仕事は違えど(そして戦前のように死人までは出ないにしろ)、やってる事が変わらんような?

作者の前書きに「コールセンターの地位向上のため」と大義名分はあるものの、コールセンターの地位向上なのか債権回収の地位向上なのか、微妙に混在している感じがしました。

 

③このコールセンターという本体から切り離された部隊の精神状態は、一種の「ストックホルム症候群」に近いと感じたこと。

朝から晩まで受け身で暴言を受け続ける。お客様に言い返すなんてもってのほか。お客さんを変える事はできない。自分を変えるしかないって極限状況になってる。先輩の教えも同じ発想。

 

なんと最近は企業不祥事や製品クレームを受けるためのコールセンターもあるそうな。

ホントに「謝る」ためだけの仕事。客は会社に文句言ってるはずが、会社不祥事と関係ないパートに言ってるだけだったって、まるで舐めてる話だなあと。

こういうのも、最近話題のモンスタークレーマーが急増する1つの要因にもなってるんじゃないのか?って気がしてきました。

 

シングルマザーの収入源になっているのは良い面としても差額は数百円程度、勤務先の本筋の業務を身につける事もなく、こういう理不尽部分だけを切り取って仕事として続けさせていいのだろうか。私の考えが甘いのだろうか?なにかがオカシイような.....

 

軽い気持ちで読んだが、何となく矛盾を感じざるを得なかった本でした。

それと、私が短期間ですが業者として仕事した消費者金融でも、とても機微な情報も知る事になりましたが、そんな中で本にするのは色々と大変だったろうなと感心します。


コンプライアンスや機密保持誓約書も書きましたが、それより見聞きした情報がとても他人に話せる内容ではなかったからです。

世の中を知ったという作者のまとめには大変に共感しました。